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CQ4 悪性神経膠腫(初発・再発)を含めた悪性脳腫瘍に対して,開頭腫瘍摘出術の際のタラポルフィンナトリウムと半導体レーザを用いた光線力学的療法は有効か?
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推 奨 悪性神経膠腫(初発・再発)を含めた悪性脳腫瘍に対して,開頭腫瘍摘出術の際のタラポルフィンナトリウムと半導体レーザを用いた光線力学的療法を考慮してもよい。(推奨グレードC1)
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解 説
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光線力学的治療(photodynamic therapy)は,光感受性物質(photosensitizer)と低出力レーザの光線力学的反応で発生する一重項酸素の細胞障害を用いる治療である。光線力学的治療は,我が国では,肺癌,食道癌,胃癌,子宮頚癌/異形成,加齢黄斑変性症,悪性脳腫瘍に対する治療として承認を得ている。悪性神経膠腫(初発・再発)を含めた悪性脳腫瘍に対するタラポルフィンナトリウムと半導体レーザを用いた光線力学的療法の効果を検証した臨床試験は以下に記載する2報告1,2)のみであり,ランダム化第Ⅲ相試験による有効性の検討は実施されていない。
Akimotoらは,2006年から2008年まで単施設で腫瘍摘出術と腫瘍浸潤脳領域に対するタラポルフィンナトリウムと半導体レーザを用いた光線力学的治療の安全性と有効性を検討した1)(レベルⅡb)。Eloquent areaへの浸潤を認め,全摘出不能である初発悪性神経膠腫6例,再発悪性神経膠腫8例を対象とした。初発悪性神経膠腫においては奏効率 80%であり,無増悪生存期間中央値23カ月であった。初発膠芽腫4例では無増悪生存期間中央値18カ月,全生存期間中央値31カ月であった。再発悪性神経膠腫では奏効率 25%,無増悪生存期間中央値3カ月,全生存期間中央値9カ月であった。光線力学的治療に伴う有害事象を認めなかった。
Muragakiらは,2施設において初発悪性神経膠腫21例,再発悪性神経膠腫1例を対象にタラポルフィンナトリウムと半導体レーザを用いた光線力学的治療の安全性と有効性を治験にて検討した2)(レベルⅡa)。全症例においては全生存期間中央値27.9カ月,無増悪生存期間中央値20カ月,局所無増悪生存期間中央値22.5カ月であった。初発膠芽腫13例においては,全生存期間中央値24.8カ月,無増悪生存期間中央値12カ月,局所無増悪生存期間中央値20カ月であった。タラポルフィンナトリウムを投与された27例で関連の可能性が低い有害事象が22.2%に認められた。皮膚の有害事象は7.4%で認められた。これらの臨床試験結果から,タラポルフィンナトリウムと半導体レーザを用いた光線力学的治療に大きな有害事象は生じることなく安全性が認められた。特に初発膠芽腫に対する有効性が示唆される。本試験結果に基づいて2013年に悪性脳腫瘍に対するタラポルフィンナトリウムを用いた光線力学的療法が我が国で承認された。
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◆文 献
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1) |
Akimoto J, Haraoka J, Aizawa K: Preliminary clinical report on safety and efficacy of photodynamic therapy using talaporfin sodium for malignant gliomas. Photodiagnosis Photodyn Ther 9:91-99, 2012(レベルⅡb)
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2) |
Muragaki Y, Akimoto J, Maruyama T, Iseki H, Ikuta S, Nitta M, et al: Phase II clinical study on intraoperative photodynamic therapy with talaporfin sodium and semiconductor laser in patients with malignant brain tumors. J Neurosurg 119:845-852, 2013(レベルⅡa)
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