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CQ6 転移性脳腫瘍に対するステロイドや浸透圧利尿薬はどう使用するのか?
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推 奨1 神経症状を呈する腫瘍周辺の浮腫に対しては,ステロイドや浸透圧利尿薬を使用する。(推奨グレードB)
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解 説
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転移性脳腫瘍では,腫瘍周辺の高度な浮腫のために神経症状を呈することがある。脳浮腫に対しては,鉱質コルチコイド作用の少ないデキサメタゾン,ベタメタゾンが一般的に使用され,さらに緊急時には浸透圧利尿薬も用いられる1)(レベルⅤ)。ステロイドの使用に際しては,消化管出血や糖尿病,易感染性などの合併症に注意しつつ,長期に使用することは避け,経過をみながら適宜漸減・中止を検討する。また,中枢神経系原発悪性リンパ腫が疑われる場合には病理診断前のステロイドの使用は勧められない(3章CQ2‒a,p107参照)。一方,明らかな頭蓋内圧亢進や神経症状がない状態では,ステロイドや浸透圧利尿薬の使用は勧められない。
デキサメタゾンの投与量について明確なコンセンサスはないが,一般的には4~8 mg/日で開始されることが多い。頭蓋内圧亢進や意識障害を呈する場合には16 mg/日あるいはそれ以上の投与量も考慮する2)(レベルⅤ)。Vechtらは,KPS 80以下の転移性脳腫瘍患者に対してデキサメタゾンを4,8,16 mg/日で開始してそれぞれ漸減しつつ7日あるいは28日間投与したところ,4 mg/日とそれ以上の投与量では効果に差がみられず,投与量が増えるにつれ副作用が増加したと報告している3)(レベルⅠb)。
転移性脳腫瘍の脳浮腫や頭蓋内圧亢進に対して浸透圧利尿薬が一般に使用されるが,その有用性を検討した臨床試験はない。浸透圧利尿薬の使用に際しては,濃グリセリン・果糖注射液やD‒マンニトールの使用による電解質異常,利尿による脱水と腎機能障害,中止後の反跳現象に注意する。また,漫然と長期に使用することは避ける。
ステロイド,特にデキサメタゾンなどの糖質コルチコイドの使用に際しては,cyto-chrome P450の酵素誘導によりフェニトイン,フェノバルビタール,カルバマゼピンなどの血中薬物濃度が低下することがある点に注意する。逆に,これらの抗てんかん薬によっても酵素誘導され,ステロイドの効果が減弱することがある(本章CQ7参照)。
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◆文 献
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1) |
Ryken TC, McDermott M, Robinson PD, et al. The role of steroids in the management of brain metas-tases:a systematic review and evidence‒based clinical practice guideline. J Neurooncol. 2010;96(1):103‒114(レベルⅤ))
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2) |
Soffietti R, Cornu P, Delattre JY, et al. EFNS guidelines on diagnosis and treatment of brain metasta-CQ ses:report of an EFNS Task Force. Eur J Neurol. 2006 Jul;13(7):674—681(レベルⅤ)
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3) |
Vecht CJ, Hovestadt A, Verbiest HB, et al. Does—effect relationship of dexamethasone on karnofsky performance in metastatic brain tumors:a randomized study of doses of 4, 8, and 16 mg per day. Neurology 1994;44(4):675—680(レベルⅠb)
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