(手術)
CQ1 PCNSLの診療における手術の位置づけは?
推 奨
PCNSLに対しては,原則として手術による組織診断が必要である。(推奨グレードA)
解 説
 MRI・CTによる画像診断により,PCNSL典型例では高い診断率が得られる。しかし組織型の確定(殆どがDLBCLであるが,T—cell lymphomaやその他の組織型も存在する)や,悪性神経膠腫その他の疾患との組織学的鑑別は必要であり,PCNSLの診断を確定するためには組織診断が必須である。
 手術法としては原則的に定位的もしくは開頭による生検術が施行される。PCNSLは多発性に発生することが多く,くも膜下腔や血管周囲腔・脳実質内への浸潤性進展性格が極めて強い。切迫脳ヘルニアをきたしている症例での減圧効果以外には,肉眼的全摘や部分摘出は予後に影響せず,画像上の全摘,あるいは生検でも治療成績は変わらないと報告されている1)レベルⅢ)。
 2012年ドイツから,第III相試験(German PCNSL Study Group-1)の部分解析で,亜全摘と全摘を受けた患者(全526人中137人)は生検を受けた患者に比して有意に無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)が長いことを報告した2)レベルⅢ)。しかし,単発病変の患者が亜全摘・全摘群に多く,病変の個数を調整するとOSの有意差は消失した。現在のところ,積極的な摘出術を推奨するエビデンスは不十分と考えられている。
 ただし,脳深部病巣や高齢者等患者背景因子によっては生検術施行のリスクが高いと判断される場合には,手術施行が困難であることもありえる。
文献検索式:
#1 Search (Central Nervous System Neoplasms[MH] AND Lymphoma[MH]) OR ((PCNSL[TIAB] OR "primary central nervous system lymphoma" [TIAB] OR CNS[TIAB] OR (primary[TIAB] AND brain[tiab] AND lymphoma[TIAB]) NOT MEDLINE[SB])) 14714
#2 Search surgery[majr] OR surgery[sh] 2753880
#3 Search ((Randomized Controlled Trial[PT] OR Meta-Analysis[PT] OR Cohort Studies[MH:noexp] OR Follow-Up Studies[MH] OR Prospective Studies[MH] OR Clinical Trial, Phase II[PT] OR Clinical Trial, Phase III[PT] OR Clinical Trial, Phase IV[PT] OR prospective[TIAB] OR trial[TIAB]) AND (2011/4[PDAT]:2017/03[PDAT])) 633360
#4 Search #1 AND #2 AND #3 28
  本改訂時の新規抽出文献数:28件
抽出後追加文献数:0件
本CQへの新規追加採用文献数:1件
◆文  献:(〇:本改訂にて追加された文献)
1) ●Reni M, Ferreri AJ, Garancini MP, et al. Therapeutic management of primary central nervous system lymphoma in immunocompetent patients: results of a critical review of the literature. Ann Oncol. 1997;8(3):227-234 (レベルIII)
2) ○Weller M, Martus P, Roth P, et al. Surgery for primary CNS lymphoma? Challenging a paradigm. Neuro Oncol. 2012;14(12):1481-1484 (レベルIII)

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